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tepito-003 N41°  
Artist interview 2013-01-18
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Seiji Takahashi 高橋征司

DSC00634_modu.JPG撮影:Jun kosaka

今年5月にリリースされたtepito-003 N41°がネット上でも話題を呼び、絶賛されている高橋征司氏にアルバムについてインタビューをおこないました。本人によるアルバム曲についてのコメントにも注目です。

interview

Q1 音楽との出会い含めて、このアルバムに至るまでの以前の音楽制作、活動などを聞かせてください。

A1 幼少からピアノとバイオリンを習っていました。10代からはテクノに傾倒し、徐々にエレクトロニカへと変遷しつつ、楽曲提供/アレンジ/ライブ活動を続けていたのですが、1年ほど中断する時期がありました。
'09年の再開は同時に挫折でもあり、電子楽器を中心とした制作を一旦リセットし、演奏可能な楽器やフィールドレコーディングを取り入れ、それまで使っていたソフトウェアも改めて習得し直すといった初歩的な実験から出発しました。
そこからN41°へと至るのですが、自分がやろうとしていた事はタイミング的にエレクトロニカ/ドローンの潮流に合流するものだったと思います。

Q2 このアルバムのコンセプト、制作のいきさつなどを聞かせてください。

A2 2009年にCDRアルバムを自作したところから始まり、N41°のリリースまでに4枚のCDRを作りました。
アルバムの計画を念頭に置きつつ、制作は常に素朴な発想や実験から始めることを大切にしました。
それらの中で主要な曲を軸に、さらに1年ほどかけてレコーディングし直したり素材を磨き直し、解体・再構築を行いました。
その過程に於いて特に、故郷の雪原でのフィールドワークは印象的で、自分の原点に通じる行為でもあるのではないかと感じ、アルバムのテーマにしました。

Q3 今回は雪原のフィールドレコーディングとその音楽化のクオリティの高さも評判を呼んでいますが、録音に関するいきさつ、方法など簡単に聞かせてください。

A3 録音は制作と並行して三年間、凍った湖と森に囲まれる場所で行いました。
自作マイクを使用して、雪を踏みしめる音、マイクを雪に埋めた音、地吹雪、降り積もる音などを録音します。

Q4 今回のアルバムの特徴として、アコースティック楽器の豊かなサウンドと電子的なサウンド、フィールドレコーディングされた有機的なコンクレート音の融合がありますが、そうした異なる音源を扱うことについての思いや方法、聞き所など聞かせてください。

A4 雪原の音を例にすると、ノイズとクリックの集合としての聴覚的な快感とは別に、その場で感じた景色、冷たさ、時間、心象といった記憶は、楽器をも含めたあらゆる音響的変換・加工プロセスの中に転写されるものと思います。

Q5 現在の活動、今後の活動予定、制作予定、抱負などを聞かせてください。

A5 国内外のアーティストとのコラボレーション等を行い、作曲と故郷でのフィールドワークを継続します。また、いつか故郷に寄与する形での活動が出来ればと思います。




N41° コメント

1 test report
深雪を行く足音・吐息・心音・シャッター音。
記録の開始。
ジャケットデザインと並行してアップデートを重ね、最後に完成した曲。
澄んだ空気と雪原の爽快なイメージだが、後半の翳りは「41°north」への予兆。

2 crevasse
氷や氷柱が融ける/割れる音を水中で録音、加工。
微弱な音を最大限に増幅して現れる巨大な空間と重低音。

3 snowscape
本を開閉する音で構築した柔らかいリズム、ピアノとヴァイオリンの残響が内部変化してゆく。
上空を舞う雪、しんしんと降り積もる雪を眺める。

6 gion after
幼少から実家にある動かなくなったオルゴール(Chopin Nocturne Op.9-2)に「ginome」のコードを合わせた曲。

7 in parallel
作曲してピアノを録音した後、テイク同士のズレから偶発的に浮上した響きのループを基に再び作曲と録音を行った。
中間部は補助的に使ったコンピュータ内蔵マイクの音。意図と偶然のバランス、対話が心地良い。

8 sigh (vocal & lyrics by Saori Koseki)
ボーカル曲。治癒的に浮かんだ素朴なメロディと、彼女の感性が出会う事で具現化した。
音楽性も声もよく知らないままメロディを託し、初めて届いた歌声は奇跡のようであった。終盤の反復はその時のデモテイクを使っている。
儚く危うい透明感のある歌声、身体感覚が薄れるような歌詞。

10 ginome
曲名はgion(擬音)+picnome。文房具・ピアノ・電子音で構成した高精度で整合性のあるリズムと、ボイスサンプル・ピアノ・ヴァイオリンのアコースティックな響きが重なるエステティックな曲。

12-14 41°north Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ
表題曲。故郷青森の雪原での最初のフィールドワークから生まれた早い時期の曲だが、アップデートはアルバム完成まで続いた。
最も深く内面と向き合った曲でもあり、作業的・精神的に強い負担を要した。

15 first report
「41°notrh」の困難から生まれた感のある対照的な、極めてシンプルでストレートに雪原を表現した曲。

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